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作者が好き勝手やってる文字の掃き溜め
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記事タイトルがワールドエンド~のやつのナーシャのはなし。
かなり前ですね…

このナーシャはそんなに黒くもない。
そもそもナーシャいたんだねってそんなはなしです。

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私は、恋をしていた。
それはもう、どうしようもなく。



とある 恋の 結末
 それはとてもありきたりな




私がこの巨大な総合病院に看護士として赴任したのは半年ほど前のこと。
担当は小児科で、だから彼とは全くといっていいほど関わりがなかった。
本来ならこれからも。

だけどたまたま、その日の夕方から担当だった少年に連れられて、
正確に言えば着いていって入った特別棟。
こっそりその少年がベッドから抜け出したのを幸か不幸か見つけてしまったのがきっかけ。

少年はそこにいる少女に会いに行きたかったようで。

ばつが悪そうに目をそらして話す少年はいつもの、大人びた雰囲気とは違い年相応だった。
私はそれを微笑ましいと思ったけれど笑ってしまえば拗ねてしまうのは目に見えていたから
表情には出さずにその背中を見送った。
ここで駄目といってもまた見てないときに来てしまうのだろうし、
それなら看護士である私がいたほうが何かあったときに対応できる。

そして何より少年が会いに来た子がここにいるということは―

特別棟。
それはみえないはずの死が、みえるひとたちの場所。
いつ迫るかわからないはずのそれが、わかってしまうくらい、死に近い人たちのさいごの、場所。

きっとあの聡い少年はすべてを理解しているのだろう。

その残酷さに目蓋を伏せる。
そして改めてその空間を見渡した。

そこは静かで、白くて、寂しさが混ざっていて、不思議と穏やかさがあった。

勤務時間だと思いつつ、私は少しだけここを周ることにした。
流石というべきか看護士の姿は見当たらない。



そこ、は特別棟のなかでも特別だった。

実際は特別だと思ってただけだったのだけど。

迷い込むように入ってしまった一室。
所有物の少なさ故か、他の病室より少し広く感じる真白い空間。

その、白のなかで、浮かぶ黒。
おそらくいつもは切り取られた青色がこの白に映えるであろう窓の外は、
その日は曇りで白と同化していた。
だからより一層、彼が浮いて見えた。

彼自身が、そうであるように。



彼は空を見ていた。
ベッドの頭部だけ上げてそれによりかかるようにして。
声をかけようか迷っていたら、
ふと、私の存在に気づいてこちらを見る。

「ええと、どちらさま?ここの看護士じゃ、ないだろ」
それは疑問ではなく確信した声色で、けど意外にも警戒した様子はなかった。

「ええ。小児科の看護士です。」

「ああ、あいつ、今日はお供連れてきてんだ。」

彼のいうあいつとは少年のことか。

「私が見つけちゃったんですよ。」

「はは、ヘマしたな。」

そういって笑う彼に私は、




単純に、簡単に、恋していた。




いつのまにか私も少年についてあの場所に足を運ぶようになっていた。
ばかなことをしていると自覚はあったけど。

彼には恋人がいた。

正直、器量は私のほうが上の自信はあったけど、十分に可愛らしいひとだった。
それ以上に彼とふたりのときの雰囲気が穏やかで、幸せそうで。
私が入る隙間なんてどこにもなかった。

それでも彼が、すきだった。


おわりが近いのをしってはいたけど、幸せになってほしいと願っていたの。






なのに―





        *



「病院で、とかほんと何考えてるんですかね。」


嗚呼、ばかなひとたちだ。
私には理解できない。

それでも。
それでも、好きだった。

彼が。

彼女しか愛せない、あのひとが。


さよなら


さよなら


そう、ありきたりな言葉を告げましょう。

さよなら、私の、恋心。


私はふたりが幸せなら、なんて願ってやらない。
理解できない幸せを喜ぶことなんてできない。

だから、
さよなら、おふたりさん。
もう、私はあなたたちを思い出すことはないでしょう。



だから、


この涙は見てみぬ振りをしてください。






私は、恋をしていた。
それはもう、どうしようもない。




あとがき

どうしようもないひとたちのどうしようもないはなし
第三弾。
編集をサボっていた所為でブログに上げるの大分遅くなってしまいました。

ナーシャが珍しく黒くない!と当時喜んでいたのですが、現時点ナーシャの黒いとこなんてバトンくらいしかでてないですよね。彼女はいいこですよ。一応←
レイ←ナシャはデフォ。

病院のシステムはろくに調べてはいませんが、配属移動ありで科の移動は基本無し、昼、夕、深夜から朝の交代制のつもりで書いてました。元ネタはあったりなかったり。

因みにナーシャが担当になってた少年はカルマ、会いにいこうとしてた少女はエレナです。

また次回!
ここまで呼んでいただきありがとうございました!
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