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作者が好き勝手やってる文字の掃き溜め
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act4ですー

ペースが早いのはまぐれですよ。

今回もちょいちょいアップしていければ、と思います。

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逆さにした砂時計
さらさらと、さらさらと

わかっているのは止まらないってこと

 The reverse side of an eyelid


アースが消えた、部屋。

いまも残る銃の引き金を引いた感覚が、
今も尾を引く亡き左眼の痛みが、
すべて嘘であるかのようにそこはレイズ・クォーツの部屋でしかなかった。

外はいつもの灰色で、あのとき聞いた雨の音もない。
それがより一層、あの日を否定されている気がした。
喉が渇くのを他人事のように感じる。
自失しているレイズの耳に入ってきたのは「しってる」という声。

それが、ルナのものであるということを認識するより先、思わずといった動作―レイズにとって本当に思考の外の部分―で、ルナを押し倒し、その頭蓋に銃口を向けていた。
白い蛍光灯の明かりが男の影で翳る。
「それが、ひとに物を乞う態度?」
そんな危機的状況、常人ですら分かる殺気に晒されながらルナは顔色一つ変えずに言う。
「お前、死にたがりか」
「まさか。」
―死んだら、終わりだもの。とやはり変化の無い顔で言う。
アイスブルーの瞳はレイズの一つ眼をじっと見ていた。
 
緊張をはらんだ沈黙。
 
それを破ったのはレイズだった。笑いを噛み殺したような息が漏れる。
事実、レイズは笑っていた。先ほどまで肌を刺した殺気も霧散している。
何がレイズの琴線に触れたのかルナにはわからない。
唯、レイズが己をもう殺そうとしていないのは、わかる。
だからかルナの意識は目の前の男ではなく、背中から伝わる床の冷たさをぼんやりと感じるにあった。

と、白い光が網膜を焼く。
それによってレイズが己の上から退いたことをルナは知る。
のそりと立ち上がり、再び翳る。逆光になったのかレイズの表情は読めない。
「…、教えてくれ、頼む。」
頭をがしがしと乱して頼みを口にする。乞う姿にしては乱雑であるが、彼にとって、しかも相手の命を確実に潰せる圧倒的優位な状況で最大の譲歩といえた。
だというのに、
 
「いや。」
 
返ってきたのはそっけない一言。
 
「は?」
 
訪れた沈黙はつい数分前とは違う間の抜けたもので。
今までの殺伐とした空気はどこへやら。
呆気にとられるレイズを他所にルナはゆっくりと起き上がる。
 
「わたしはここで知りたいことがある。手伝いなさい。」
―そうすれば教えてあげる。
 
淡々と淡々とそうのたまうルナ。
レイズはプツンと堪忍袋の緒が切れる音が聞こえた。
 
「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 
この少女に出会ってから何度目かになる絶叫が壁の薄い部屋に響いた。
 
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