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寒さが苦手です。
今回は主心も他所の子も関係ないss。
こういうのはしぶで上げたほうがいいと思いつつ面倒なのでこちらに投下。
分かる人にはわかるであろう黒歴史をちょっと改変したものです。
そんな経緯から時期はずれなんですがお許しを
あとワードからのコピペで書式引きずってます。
ハイイロ
雨。窓ガラスを叩く雨音は、がらんどうの部屋によく響いた。
テレビは沈黙を守り、黒い画面は広いリビングを映し出す。サボテン、写真立て、カレンダーにぬいぐるみ。写真は笑顔の家族。うさぎのぬいぐるみは微笑んで見える。
家族が外出中の部屋は嘘のように静かだ。雨のせいでまだ昼だというのに薄暗い。煩い秒針が無いデジタル時計は無言で十二時を告げていた。
冬の到来を感じさせるこの頃。この天気は肌寒い。
ふと壁際に目をやれば今時珍しい日めくりカレンダー。手作りらしくクレヨンで大きく十一月十四日(日)と書かれていた。花とうさぎの絵もある。
ぼんやりと窓の向こう側を見ていた彼女はのそりと立ち上がるとキッチンへと消えた。電気ケトルの電源を入れ、インスタントコーヒーを探す。
すぐに完成したコーヒーを持って彼女の定位置となったソファの右端に腰掛ける。
再び視線は外。ガラスに映る彼女はマグカップに口をつける。お湯が多すぎたらしい。あまり苦くなかった。
雨脚は強くなるばかり。こたつはまだない。
家族の誰も、帰ってくる気配は無かった。
外を見るのも飽きたのか漸く視線が動いた。リモコンに手が伸ばされる。
日曜日、それも昼ともなればやっているのはワイドショー、ゴルフに相撲、番宣のための再放送。昼ドラすらやっていない。
ザッピングの末、合わせたチャンネルはニュース。
ノイズのようにキャスターの声が右から左へ流れていく。
芸能人の結婚会見、官僚の汚職事件、失踪騒ぎに一家殺人事件の時効。何かの文学賞の受賞者発表の後に天気予報。
毎日毎日、同じような繰り返し。やはり消そうかとリモコンを画面に向ける。
画面ではひとまず終了なのかキャスターが一礼し、またいつものように終わりの一言。
「十一月九日、日曜日。お昼のニュースでした。」
ぴたり、と彼女の手がとまる。
画面の向こうは既にコマーシャルの中で金髪美人が。
つい先ほど見たばかりのカレンダーに目をやる。
―日付は、十一月十四日。
「もう、そんなに経つんだなぁ。」
彼女はリモコンを置き、空になったマグカップを取った。そして、立ち上がると日めくりカレンダーを破る。けれど目的の日付は出てこなかった。
まるめられた紙は空の屑かごへと投げ入れて、キッチンへ。
小煩いCМのメロディが依然として流れている。雨はまだ止まない。
砂糖を掻き混ぜながら、呟く。
「明日って、燃えるごみだっけ……?」
誰に宛てるでもなく、雨音にかき消された。
日付は正しいけれど誰も、「彼女の家族」とは言ってませんよ。