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作者が好き勝手やってる文字の掃き溜め
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お ひ さ し ぶ り で す 。
生きてます。かれこれ2ヶ月ぶりでしょうか…
うう、最近リアルで忙しいなんて何度目の言い訳でしょう…

というわけで、なんとか感謝企画のほう、第一弾が完成しました!(企画のものはカテゴリー:projectにいれていきます。)
一個目はマツリ様よりいただいたリクで「カルエレとシア」です。

因みにリクをいただいた順ではないです。すみません(汗)ご了承ください(><)

拍手[2回]






澱んだ空はあっけなく落ちてきた。



 
兆しはあったのだ。
やたらうるさい猫の声だとか、撫でる風の温さだとか、蠢く雲の暗さだとか。
何もそれを全部無視して飛び出したわけではない。
原因はひとえに晩御飯の材料を買って来いと傘を持たせずに己を放り出したレイズにある。
と、店の軒下に非難して強くなるばかりの雨を見つめながらシアは思っていた。

振り出し方や強さからみて一過性のもの。とはいえ、だからこそ凶悪な飛沫にその場所は心許なかった。
どうしたものか、と流石のこの男も溜息をつく。濡れねずみだけは勘弁して欲しい。

変わらない空模様を追うことに飽いてシアが頭を正面に戻せば、人がひとり、慌てた様子で飛び込んできた。
アウトかセーフか訊ねるまでもなくアウト。
頭のてっぺんから靴までびしょ濡れの少年。
うわー、こうはなりたくない。というかならなくて良かった。なんて思考はせども口では言わない。
シアがそんなどうでもいいことを考えている間にも、ぎゅう、と水を吸って変色したランニングシャツを絞る少年は服が張り付く感覚にか、拭えない冷たさにか、不覚にも濡れてしまったという事実にか、不快そうに顔をしかめていた。

そこで、少年はやっと先客の存在を視界にいれた。

気づいていたのかいないのか、赤の他人のシアにはわかるはずもなかったが顔の険はとれるどころか一層深まったように見える。
自分比で人好きのする笑みでにっこりと笑ってみるが、それも逆効果だったのか目まで逸らされた。
知らない相手に失礼だよと自分を棚に上げて思うもやはり口には出さない。それに褒めてあげたい気分にもなる。
よく君をばかにしたことがわかったね、と。
何様だと彼の某先輩がいれば言いそうだが、幸か不幸かここには彼と見知らぬ少年がひとり。シアキシアに言わせればなんにも問題はない。尤も、某先(略)がいたところで変わらなかっただろうけれど。
 
煩いくらいの雨音が都合良く沈黙をかき消す。
 
「おつかい?」
気まぐれにかけた声。沈黙を壊そうと思ったのはちょっとした好奇心。
まさか自分に向けられたものだとは思わなかったらしく、それでもこの空間には二人しかいなくて。やっと反応したのはまばたきが二回、繰り返されてからだった。
「……まぁ、そんなもんだけど。その言い方、なんか腹立つな。」
少年期特有の中性的な声に含まれた苛立ちにシアはゴメンゴメンと謝る。当然の如く、そんなこと欠片も思っていなかったが。
「そういうアンタもおつかい、なんじゃないのか?」
「んー、まぁそんなもんかな?」
意趣返しのような質問にさして嫌がるふうでもない肯定を返せば少年は諦めたように溜息をついた。それが外見と不釣合いで面白い。歳に不釣合いといえば、と思い出したのは銀の髪の少女。彼女のあの喜怒哀楽が出ない顔も歳不相応といえば不相応だろう。
二人目の来客は、再びの沈黙のなかだった。
 

「見つけた!」

明るい、先ほどの件と比べるならば歳相応の、少女の声。
シアの知り合いではないため、少年の知り合いらしい。
自身は傘を差し、その手にも傘。
驚きうろたえたような少年がなにやら呟いたが恐らく少女の名前なのだろう。
少女は土砂降りをものともせず駆けてくる。

「もう、傘なんていらないっていうからこんなことになるのよ。」
「うっせ!買うもん買ったんだからいいだろ!」
「なによ!せっかく傘持ってきてあげたのに。」
「どうせスコールだろ。あと三十分もありゃ止んださ。」
「恩人に対してその言い草はないんじゃない?」
「頼んだおぼえはねぇよ!」
「最低!」
「知るかよ!」
 
見事に繰り出される言葉の応酬。
大爆笑しなかった自分を褒めてやりたいとシアは切に思う。それでも漏れ出た笑いは少年の耳にばっちり届いたらしい。
「っ、――!」
耳を赤くした少年はまさしく歳相応で、つい数分前との差に今度こそシアは声を出して笑った。
「っあんた!」
羞恥で耐え切れなくなったのか、少女に対する剣幕はどこへやら、少女が持ってきた傘をシアのほうへ投げると少女が差していた傘をひったくり彼女の手を引いて軒下から出て行った。
少女より頭一つ分とはいかないまでも届かない身長が懸命に二人の人間を傘に納めようと四苦八苦する姿はなかなか微笑ましいものである。
しかし、少年が応酬のなかで言っていた通り、スコールはじきに止んでしまうだろう。シアが避難したときよりも雨足は弱まっているようでもあった。
「言えばよかったかなー。」
ソレが相合傘ということに。
一人に戻った軒下でシアはごちる。
そういうことに敏感そうな彼らがどんな反応をするのか、そう考えると自然口角が上がる。
「たまの雨宿りも悪くないかな。」
貰った傘はそのままに止むのをまつ。
 
やがて止まった雨音に、男は軒下を立ち去った。
 
 
 
名無しの宿

(ん。買ってきたもん寄越せ。)
(あ。忘れました。)
(は?)
 
(ただいま!)(ただいま…)
(ああ、おかえり。カルマ、エレナ。)
(はいこれ。)
(ありがとうな。エレナも。)
(えへへー)


あとがき

おまたせしてすいませんでしたぁぁぁぁ

そしてどうでもいいはなし、カルマの声を中性的と表現しているものの(イメージボイス:ぱくろみさん)シアのが高いという…(イメージボイス:釘宮さん)

マツリさまいかがです、か…
ほのぼのかどうかが甚だ疑問なんですが…
本編に食い込んでもいいレベルで沿わせたんで名乗りあってすらいません。
書くのは楽しかったです。痴話げんかはびっくりするくらい勝手にやってくれました。
そしてシアの通常運転…
新鮮な組み合わせでした!ありがとうございました。
文句どんとこい!です。そしてお持ち帰りはマツリさまのみでお願いいたします。

…さて第二弾はいつになるのやら()
気長に待っていただけると助かります。
それでは。

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