どたどたと微睡みのなかでこちらに向かってくる音があるのはわかっていた。
その音源が大切な妹であることも。

だが、

「アヅサ！おきて！はやく！」

「ぐぇっ、！？」

腹の上にダイヴされるとは誰が思うだろうか。


訳の分からないまま、ぐいぐいと引っ張られ、その短い道中で嬉々として、けれど少し慌てたように話されたのはお隣さんの誕生日。

「へ？アリスさん？」
「リーシェお姉ちゃん、今日お誕生日なんだって！だから！おいわい！」

連れ出された理由はわかった。
妹が人一倍誕生日というものを大切にしているのも知ってる。
いやいやだけどねアリスさん。

「服…着替えちゃだめかなー？」

「はーやーくー！」

ささやかな願いは当然のように聞き入れられず。
急かされるがまま。

お隣さんに辿り着いてしまって。

「あーもー」

アリスによって既に開け放たれていた扉から覗く家主の影に小さな胸の高鳴りと僅かとは括れない気まずさ。

「着替える時間くらい…」

なんて負け惜しみみたくアリスにいうけれど、

もう時既に遅し。

到着、そしてこんにちは。

だから。

「た、誕生日おめでとう。
リーシェちゃん。」

うわー、ださいなオレ…なんて心の声すらだだ漏れだったけれど。
情けない言い訳は聞き苦しいものだったけれど。
それでも、
「ありがと。
アヅサさん、アリスちゃん」
なんて君が笑ってくれるから。

何故だかこっちまで満たされるんだ。

たおやかな日和に
(すべてに感謝を)




あとがき

すんませんでしたぁぁぁぁ(ｽﾞｼｬｧｧ
このアヅサくんなんかちがう！
すんませんでしたぁぁぁぁ(逃

重要なのはアリス嬢は誕生日祝うのきっと大切に思ってるんだよって部分(一文)であって、あ、いやなんでもないです。

おめでとうリーシェ嬢！！

ありがとうございました！